老い支度・終活

第3回 最適な財産管理対策を見つけよう

最適な財産管理

 これまでの記事では老い支度の必要性(第1回)、トラブルを予防するための対策(第2回)についてご紹介しました。

 

 今回は、元気なうちに対策可能な、老後の財産を守るための財産管理についてご紹介します。「財産を守るための対策」といっても様々な対策が存在するため、ご自身の現状やお悩みに応じて最適な対策を選ぶ必要があります

財産管理制度と特徴

 老後の対策には目的に応じて様々な制度があります。
 いずれの制度も実際に利用されており、元気なうちにとれる老後の対策としては不十分なものもありますが、役に立つ制度です。

 

後見制度(成年後見等)

 後見制度は、判断能力が衰えた方のため、ご家族や専門家が後見人等になり、財産管理など生活に必要な様々な援助を行う制度です。

 

制度の特徴

ご本人に代わって施設への入所手続きや収支の管理も行いますし、ご本人が間違ってしてしまった契約を後から取り消せるなど、本人を保護するという効果は大きいものです。

 

 しかし、この制度はあくまで判断が衰えた方を対象とした制度で元気なうちからは利用できませんし、家族のためにお金を使うことが制限されるなど、本人の希望に柔軟に対応するのは難しい制度です。この制度は性質上、ご家族からの相談をきっかけに提案することが多いです。

 

利用に適した方

・すでに認知症になりつつあり、預貯金などの管理や詐欺被害が心配な方
・多少柔軟性に欠けても、本人を守れる制度を利用したい方

 

任意後見制度

 任意後見制度とは、自分の判断能力が衰えたときにそなえてあらかじめ後見人となる人物を選び、衰えた後はその人が自分に変わって財産管理等をしてもらう制度です。

 

制度の特徴

本人が元気なうちに内容や任意後見人(家族や専門家)を選べる分、成年後見より本人の意思を尊重できますが、成年後見制度とは異なり、後から契約を取り消せるといった強い効果はありません。

 

利用に適した方

・今は自分で財産を管理したいが、判断能力が衰えた後は信頼できる人に財産管理を任せたい方

 

財産管理契約

 財産管理契約は信頼できる相手に財産管理を依頼する制度です。

 

制度の特徴

元気なうちにいつでも始められる対策ですが、後見制度と異なり、適切に管理されているかを確認する人間が自分しかいないので、自分が衰えた際の後見制度の利用も合わせて検討する必要があります。

 

利用に適した方

・判断能力に問題はないが、身体障害などのためすぐに財産管理を任せたい方
・財産関係が複雑で自身で管理することに負担を感じている方

 

家族信託

 家族信託とは、信頼できる家族にご自身の希望に沿った形の財産管理を任せる制度です。

 

制度の特徴

 この制度では、自分が信頼できる家族に管理を任せることで自分の希望を反映させた財産管理を実現できる、元気なうちから亡くなるまで、さらに亡くなった後の資産承継(この点は次回のコラムで紹介します)まで長期にわたって希望が実現できるといった多くのメリットがあり、最近注目されている制度です。

 

 協力してもらうご家族が必要にはなりますが、負担をかけるのが嫌という方でも、専門家が家族信託の枠組みを設計し、将来的にフォローすることにより負担を軽くし、安全に運用できます。

 

家族信託による解決

 家族信託を使うことにより、例えば以下のような悩みを解決できます。

高齢の両親がいますが、徐々に難しいことがわからなくなっており、預貯金や現金、自宅の管理を今後も両親だけで行えるのか、特に認知症になったりするとどうなるのかが不安です。両親が安心できるよう、可能なら私が責任をもって財産管理を行いたいです。

 お子様が受託者となり、両親のために預貯金や不動産の管理処分を責任を持って行う信託を設計する対策が有効です。

 

 これにより、元気なうちから両親と話し合い、財産をどのように管理するか、高齢者施設への入居はどう考えているか、施設入居後の自宅をどうするかなど、両親の意向をふまえた上で財産管理が始められます。
 認知症になってもお子様の判断で預貯金や不動産の管理を続けられ、財産管理を専門家がチェックしフォローできるので受託者もご両親も安心です。

 

利用に適した方

・自身での財産管理に不安があるが、他人ではなく自分の考えを尊重してくれる家族に任せたい方

・配偶者や子供、孫への財産承継についても元気なうちに対策を取りたい方

 

その他の制度

 これまで紹介した制度はご家族や弁護士などの専門家に財産管理を委ねる制度です。この他、公的な機関による財産管理制度も存在します。

日常生活自立支援事業

 社会福祉協議会が、認知症の高齢者や障がい者等を対象に、福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理を行い、自立した生活を送れるようサポートする制度です。
 公的な制度のため利用料が低額で、社会福祉協議会が行う制度のため福祉サービスの利用援助にも期待できます。

 

 他方で、自立した生活をサポートするための制度で自宅での生活を前提とすること、日常的な金銭管理を超える財産管理はできないことから、制度になじまない方もいるでしょう。

利用に適した方

・自宅で生活できているが、財産管理などに不安がある方

・財産管理にあまり費用をかけられない方

財産管理制度についての問い合わせ

 老後を見据えた財産管理制度について、ご自身にどのような対策が有効かをご相談したい方はこちらからお問い合わせください。

 この記事をご覧になられた方の老い支度や相続トラブルは初回相談(30分)無料で対応していますので、現在トラブルやお悩みを抱えている方だけでなく、「何から始めればいいかわからない。」「どのような対策があるのかまずは話を聞いてみたい。」といった方でも気軽にご相談ください。

 

*老い支度・相続の初回相談の方は電話の際、「コラムを見て老い支度(相続)の初回相談をしたい。」とお伝えください。

関連ページ

老い支度を考える方へ はじめに
白波瀬法律事務所の老い支度・終活の紹介記事です。 家族に面倒をかけたくない、漠然と終活のことを考えているが準備するきっかけがないという方に、元気なうちに老い支度を行うことがいかに大切であるか説明しています。
将来のトラブルに備える 見守り制度
白波瀬法律事務所の老い支度・終活のコラム記事です。 詐欺被害や不要な訪問販売などの契約トラブルなど、老後の不安を相談できる見守り制度(ホームロイヤー)について紹介しています。

ホーム RSS購読 サイトマップ
トップ 初めての方へ よくあるご質問 費用 アクセス・お問い合わせ